京西清談は、私が東京の世田谷に住んでいるからと、気持ちが癒される、あるいは、”ほっ”とする話題を提供したいからです。
 
コロナ禍の今こそ、共有すべき個人情報は活用する必要がある(その1)

コロナ禍の今こそ、共有すべき個人情報は活用する必要がある(その1)

マイナンバー導入の際、日本共産党は「プライバシーが侵害され、そこに国家権力が介入してくる」という論理で反対を唱えていました。この論理の飛躍は「そこに国家権力が介入してくる」の部分です。中国の現状を見てもわかるように、共産主義社会こそ国家権力によって国民が強くコントロールされる社会です。共産主義社会を目標とする日本共産党のマイナンバー導入の際の「そこに国家権力が介入してくる」という反対の論理は自己矛盾を起こしています。

しかし、「プライバシーが侵害される」の部分は配慮しなければいけない論点です。

今回の新型コロナウイルス禍を契機に私益と公益の問題を多くの人々が考えるようになりました。

新型コロナウイルス禍の下、3密にならないことが効果的であることが多くの国で明らかになりました。人々の行動履歴がわかれば、3密状態から生まれるクラスター被害を最小にすることが可能となります。世界の40カ国・地域が接触追跡アプリを導入したそうです。日本も遅ればせながら、厚生労働省の新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)が導入されました。個人情報は守られるのかという点にやゃ違和感はありましたが、みんなのためと考えて、私はCOCOAをダウンロードしました。今まで陽性者との接触は確認されていません。9月3日現在、ダウンロード数は1,599万件です。このソフトは人口の6割(8,400万件)がダウンロードすれば効果大と言われています。感染拡大の回避というメリット(公益)のためには更なるダウンロードが必要ですが、多くの国民は行動履歴などの個人情報は(私益)守られるのかという不安もあります。

この点に関して日経記事「データの世紀 危機が問う選択(上)」(2020年5月25日)に興味深いコメントがありましたので引用します。
【4月、オーストラリア。シドニーの会社役員、タイラー・ベックさん(55)は政府が開発した追跡アプリをスマホにダウンロードした。「監視のようで気持ち悪いが、今は非常時。妥協も必要」と自分に言い聞かせる。名前や電話番号を登録すると、他のスマホとの接近データが政府のサーバーに保管される。感染者の近くにいたことが分かれば、本人に通知される仕組みだ。スマホにしかデータを残さない仕様に比べ、個人情報の政府利用への懸念はどこまでも残る。だからこそ政府は丁寧な説明に徹した。 導入前からモリソン首相自ら「皆さんがこのアプリを使えば、社会規制を緩和できます」と国民に呼びかけた。同時にプライバシー法を改正。集めた追跡データには保健当局のアクセスしか認めず、目的外利用は刑事罰の対象とした。厳格な移動制限などと相まって国民の理解は進み、アプリも多くの人が使う好循環が続く。】

上記記事のポイントは次の内容と考えます。

  • 接触情報から感染リスクの可能性が通知される
  • 接触情報は限定された政府機関でしかアクセスできない
  • 目的外利用は刑事罰の対象となる。オーストラリアの量刑は不明ですが、懲役を伴うような厳罰に処するぐらいで良いと考えます。

世界のコロナ対策を見渡し、民主主義国家が目指すべき方向を慶応大の山本龍彦教授は、次のようにコメントしています。「私益か公益かの二択ではなく、両立できる均衡を追う。それが強権国家との違いだ」

私見ですが、私益と公益が両立できる均衡を測ることは可能と考えます。

コロナ禍の今、私益と公益について考える(その2)もご一読ください。

2件のコメント

  1. ピンバック: コロナ禍の今、私益と公益について考える(その2) | 京西清談

  2. ピンバック: 菅政権が取り組むべきマイナンバー改革の本筋とは? | 京西清談(きょうさいせいだん)

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