京西清談は、私が東京の世田谷に住んでいるからと、気持ちが癒される、あるいは、”ほっ”とする話題を提供したいからです。
 
「このままでは我が国の国家財政は子供や孫の世代に破綻する」上

「このままでは我が国の国家財政は子供や孫の世代に破綻する」上

みなさまご無沙汰しております。

昨年11月からブログの更新をしていませんでした。
理由はコロナです。コロナ禍だから気持ちを明るくする内容の記事を書きたいと考えました。しかし、「気持ちを明るくする記事って落語の世界のご隠居さんキャラが必要なのか?それから、疲れた心を癒す話も書きたいなぁ⁉」と徒然なるが儘に考えていたら一年たってしまいました。

今回、ブログ記事を再開するにあたって投稿したブログ記事の内容は、ここ一年考えていたテーマと異なることになりました。

再開記事は「このままでは我が国の国家財政は子供や孫の世代に破綻する」です。

2021年10月14日に衆議院は解散いたしました。選挙に入ると与党も野党もバラマキ公約のオンパレードになります。困っている人に国が援助の手を差し伸べることは当然です。しかし、コロナ対策として国民全員に10万円支給した施策はバラマキの最たるものです。立憲民主党は今回の選挙で「年収1000万円以下の国民の所得税免除」を公約にひとつに加えました。このことは、国民のほとんどが所得税を払わないことを意味します。金持ちが居るから彼等からむしり取れば大丈夫と多くの人は考えると思いますが、それは大いなる幻想です。日本の大金持ちの所得を合計しても国の歳出100兆円にははるか及ばないのです。

昨年10月前後にブログにアップロードした「(我が国の)504兆円の債務超過って想像できますか」と相通じる記事「このままでは国家財政は破綻するー財務次官、モノ申す」が文藝春秋11月号に掲載されました。この二つの記事をご紹介します。二つの記事を併せ読むことで、わが国の国家財政の将来像が推測できるのではないかと考えました。

矢野事務次官の懸念:タイタニック号のように氷山に向かって突進する我が国の姿
今回は矢野康治財務事務次官の記事「このままでは国家財政は破綻する」について文春オンラインに掲載された内容を引用いたします。

「最近のバラマキ合戦のような政策論を聞いていて、やむにやまれぬ大和魂か、もうじっと黙っているわけにはいかない、ここで言うべきことを言わねば卑怯でさえあると思います。数十兆円もの大規模な経済対策が謳われ、一方では、財政収支黒字化の凍結が訴えられ、さらには消費税率の引き下げまでが提案されている。まるで国庫には、無尽蔵にお金があるかのような話ばかりが聞こえてきます」

そう語るのは財務省事務方トップの矢野康治事務次官(58)。10月末の総選挙に向けて与野党ともにバラマキ合戦のような経済政策をアピールするなか、財源も不確かな財政楽観論を諫めようと、「文藝春秋」11月号に論文を寄稿した。財務事務次官と言えば、霞が関の最高ポストのひとつ。在任中に寄稿するのは異例のことだ。

「今の日本の状況を喩えれば、タイタニック号が氷山に向かって突進しているようなものです。氷山(債務)はすでに巨大なのに、この山をさらに大きくしながら航海を続けているのです。タイタニック号は衝突直前まで氷山の存在に気づきませんでしたが、日本は債務の山の存在にはずいぶん前から気づいています。ただ、霧に包まれているせいで、いつ目の前に現れるかがわからない。そのため衝突を回避しようとする緊張感が緩んでいるのです」

10月末には総選挙も予定されており、各政党は、まるで古代ローマ時代の「パンとサーカス」かのように大盤振る舞いを競う。だが、日本の財政赤字はバブル崩壊後、悪化の一途をたどり、「一般政府債務残高/GDP」は256.2%と、第二次大戦直後の状態を超えて過去最悪。他のどの先進国よりも劣悪な状態にある(ちなみにドイツは68.9%、英国は103.7%、米国は127.1%)。

「心あるモノ言う犬」としてお話したい
「私は、国家公務員は『心あるモノ言う犬』であらねばと思っています。昨年、脱炭素技術の研究・開発基金を1兆円から2兆円にせよという菅前首相に対して、私が『2兆円にするにしても、赤字国債によってではなく、地球温暖化対策税を充てるべき』と食い下がろうとしたところ、厳しくお叱りを受け一蹴されたと新聞に書かれたことがありました。あれは実際に起きた事実ですが、どんなに小さなことでも、違うとか、よりよい方途があると思う話は相手が政治家の先生でも、役所の上司であっても、はっきり言うようにしてきました。

『不偏不党』――これは、全ての国家公務員が就職する際に、宣誓書に書かせられる言葉です。財務省も霞が関全体も、そうした有意な忠犬の集まりでなければなりません」

矢野氏の告発の背景には、これまで財務省が政治家との関係を重視するあまり、言うべきことを言って来なかったという反省もある。

「もちろん、財務省が常に果敢にモノを言ってきたかというと反省すべき点もあります。やはり政治家の前では嫌われたくない、嫌われる訳にはいかないという気持ちがあったのは事実です。政権とは関係を壊せないために言うべきことを言わず、苦杯をなめることがままあったのも事実だと思います。

 財務省は、公文書改ざん問題を起こした役所でもあります。世にも恥ずべき不祥事まで巻き起こして、『どの口が言う』とお叱りを受けるかもしれません。私自身、調査に当たった責任者であり、あの恥辱を忘れたことはありません。猛省の上にも猛省を重ね、常に謙虚に、自己検証しつつ、その上で『勇気をもって意見具申』せねばならない。それを怠り、ためらうのは保身であり、己が傷つくのが嫌だからであり、私心が公を思う心に優ってしまっているからだと思います。私たち公僕は一切の偏りを排して、日本のために真にどうあるべきかを考えて任に当たらねばなりません」

 ■“破滅的な衝突”を避けるためには……
「昨今のバラマキ的な政策論議は、実現可能性、有効性、弊害といった観点から、かなり深刻な問題をはらんだものが多くなっています。それでも財務省はこれまで声を張り上げて理解を得る努力を十分にして来たとは言えません。そのことが一連のバラマキ合戦を助長している面もあるのではないかと思います。

 先ほどのタイタニック号の喩えでいえば、衝突するまでの距離はわからないけれど、日本が氷山に向かって突進していることだけは確かなのです。この破滅的な衝突を避けるには、『不都合な真実』もきちんと直視し、先送りすることなく、最も賢明なやり方で対処していかねばなりません。そうしなければ、将来必ず、財政が破綻するか、大きな負担が国民にのしかかってきます」
国家財政をあずかる現役トップ官僚の告発「 財務次官、モノ申す 『このままでは国家財政は破綻する』 」全文は「文藝春秋」11月号に掲載されています。)

矢野さんの勇気ある発言にエールを送りたいです。

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