京西清談は、私が東京の世田谷に住んでいるからと、気持ちが癒される、あるいは、”ほっ”とする話題を提供したいからです。
 
504兆円の債務超過って想像できますか (その5)

504兆円の債務超過って想像できますか (その5)

ブログ記事「504兆円の債務超過って想像できますか(その3)」の結語で、「読者のみなさまの忌憚のないご意見をお聴きしたいです」と書きました。それに対して、論客である友人、高橋信敏氏からコメントがありました。高橋氏は、私が債務超過504兆円の改善の解決策として提起した”増税と歳出削減”に対して非常に興味深い分析をしておりますので、高橋氏の了解の下、彼のコメントを2回に分けてお伝えします。

日本国の健康診断(前回)
日本国への処方箋(今回)

日本国への処方箋

それでは、日本国の処方箋は、どうあるべきでしょうか?小生は、体質改善を図りつつ、同時に新たな視点からの「増税と歳出削減」が必要であると考えます。

体質改善  日本経済を健全なものにすること、「経世済民」を基本の考え方に据えることが、何よりも大切です。元々企業は国民の生活を豊かにするために考え出された生産・分配の機関(道具)に過ぎません。「企業があって、国民がある」のではなく、「国民があって、企業がある」のです。企業活動を自由に行わせれば、国民にとっても最善となるという信仰(新自由主義)から目覚めなくてはいけません。一部の国民ではなく大多数の国民の所得・資産を豊かにすることを直接に(トリクルダウンはダメです。)めざすことが大切です。具体的には次のようなことで国民の購買力を高めることが考えられます。そうすれば、消費需要が高まり、設備投資など企業活動が大きくなってゆきます。
㋐労働者派遣事業の禁止、
㋑全国一律最低賃金制と最低賃金の大幅アップ、
㋒同一労働同一賃金(男女格差是正)
㋓労働分配率アップ誘導

税制
㋐消費税の減税・廃止  これまでは、増税と言えば、消費税に決まっているように思われてきました。しかし、消費税が経済に悪影響を及ぼすことは誰もが分かっています。10%に税率を上げる時に日本政府は、一時的な措置ではありますが、同額を景気対策に回すと言いました。8%に税率を上げる時にはそれ見合いで法人税の減税をしておきながら、200兆円もの「国土強靭化」投資を行うと言いました。元々消費税は、法人税・所得税減税の代替財源として導入したものですが、景気を冷え込ませるだけでなく、国民生活をみれば、多くの国民にとって耐えがたいものになっています。いまや消費税を減税ないし廃止し、法人税と所得税を増税すべきではないでしょうか。
㋑法人税の増税    法人税は税率を徐々に以前の水準に戻すこと、および累進課税にすることが求められています。また試験研究費控除など租税特別措置法を全廃すべきと考えます。なお、再生可能エネルギー化の促進など緊急に求められているものに限定することも考えられます。
㋒所得税の増税   所得税は最高税率を以前の水準に戻すこと。
㋓贈与税・相続税   高額の贈与・相続は、税率を思い切って上げること。
㋔株式売却益や受取配当金    株式売却益や受取配当金に対する税率アップ(勤労所得を超える税率設定)。

このようにして、これまで日本国が支援してきた企業部門・家計部門(高額所得者)から財政赤字解消のため、お返し頂くということです。

歳出削減
㋐米国への貢納の停止        先ず行うべきは、条約上日本が負担する必要のない「思いやり予算」や世界の歴史上初めてと言われる外国基地(米国グアム基地)整備費の負担、日本国を防衛するのに不必要な兵器の米国からの購入などの財政支出停止です。
日米貿易摩擦における自主規制、630兆円の公共投資や法人税引下げ要請など米国の要請に唯々諾々と従う 日本政府に不甲斐なさを感じます。しかし、これは日本政府としては「日米安全保障条約」に遵っていると認識しています。この条約の第二条「・・・・・略・・・締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国間の経済協力を促進する。」です。言いなりになれとか書かれているのではないのですが・・・。

㋑不要不急の公共事業の中止         次には、不要不急の公共事業の見直しです。南海トラフ巨大地震など大災害に対する国土強靭化などに限定して、それ以外の高速道路や新幹線の整備などはムダになる可能性が高いのですから中止すべきと考えます(財務省の官僚が“忖度する”のではなく、精査すればそうなるでしょう)。

なお、社会保障費は削減する必要はありません。公共工事に比べれば、経済効果は高いのですから。

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高橋氏のコメント、私のコメントに対して別の視点からのご意見もあると思います。

読者のみなさまの忌憚のないご意見をお聴きしたいです。

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