京西清談は、私が東京の世田谷に住んでいるからと、気持ちが癒される、あるいは、”ほっ”とする話題を提供したいからです。
 
鳳凰祭4月大歌舞伎@歌舞伎座 前編

鳳凰祭4月大歌舞伎@歌舞伎座 前編

歌舞伎座4月公演の演目のひとつ「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)」を先日観劇しました。配役は“切られ与三郎”が片岡仁左衛門、“お富”が坂東玉三郎という豪華キャストです。華のあるふたりが舞台に登場すると歌舞伎座は一瞬のうちに非日常の世界に変わりました。

ふたりが密会する場面(濡れ場)とその密会がばれる場面(責め場)があり、追い詰められてお富は海に身を投げ、与三郎は簀巻きにされて海に投げ込まれます。その後の与話情浮名横櫛のあらすじを歌謡曲にしたのが、1954年に発売された春日八郎が歌う「お富さん」です。小学生のわたしは意味も解らずに口ずさんだ大ヒット曲で「死んだはずだよ お富さん」は当時の流行語にもなりました。

【粋な黒塀 見越しの松に
仇な姿の 洗い髪
死んだ筈だよ お富さん
生きていたとは お釈迦さまでも
知らぬ仏の お富さん
エーサオー 玄冶店】

玄冶店(げんやだな)は昔の日本橋人形町界隈の地名です。

それから、【しがねえ恋の情が仇、命の綱の切れたのを、どう取り留めてか木更津から、めぐる月日も三年越し、江戸の親には勘当うけ、よんどころなく鎌倉の・・・】のセリフ、オペラのアリアを聴いているようで、“切られ与三郎”演じる仁左衛門が江戸弁でとうとうと語る場面に大向こうからの掛け声「松嶋屋!」は当に歌舞伎の醍醐味を提供してくれます。

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