京西清談は、私が東京の世田谷に住んでいるからと、気持ちが癒される、あるいは、”ほっ”とする話題を提供したいからです。
 
しあわせ

しあわせ

“しあわせ”というと「幸せな家庭」、「幸せな人生」と言うフレーズが思い浮かびます。そのフレーズの意味を「みんな仲良く暮らす家族」、「なんの不自由もなく過ごせる人生」と考えています。

先日、玄侑宗久さん( 作家・臨済宗福聚寺住職)の話を聴く機会がありました。玄侑さんによれば、“しあわせ”は室町時代に生まれた言葉で、「為る」と「合わせる」のふたつの言葉の名詞形だそうです。「為る」の主語は天であり、天の「為る」ことに「合わせる」が「しあわせ(為合わせ)」の意味だそうです。つまり、天が為すことに、私たちは合わせていくしかない。合わさっている状態が“しあわせ”なのです。

その後、「為る」が「仕る」となりました。「仕る(つかまつる)」の主語は天ではなく、人になります。自分と相手の動作が合うこと、つまり、めぐりあわせがよいが「しあわせ(仕合せ)」の意味に変わったそうです。私の理解する“しあわせ”とはかなり意味が異なります。かなり運命的な色彩の強い言葉の意味です。 江戸時代になると、「幸福」、「幸運」といったプラス面の意味が“しあわせ”に乗ってくるようになったそうです。 “しあわせ”と同じ発音でも時の流れと共に意味が変化する言葉の不思議を宗久さんの話から実感しました。

後期高齢者の年齢になった自分の人生を振り返ってみると、為合わせを受け入れた時もあり、仕合せになる努力した時もあり、今は幸せを実感しています。ところで、あなたは“しあわせ”ですか?

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