今話題の「イーロン・マスク(Elon Musk)」の評伝をオーディオブックで読み(聴き)ました。この評伝はノンフィクション作家のウォルター・アイザックソン(Walter Isaacson)が執筆し、95章からなり立っています。各章の再生時間は10分から15分です。現在71歳のアイザックソンは、1978年にタイム誌の編集部となり96年に同誌の編集長に就任した後、2001年にはCNNの会長兼CEOに就任。アメリカ同時多発テロ事件ではCNNの事件報道を先導しました。2011年にはアップル社公認のジョブズの伝記『スティーブ・ジョブズ』を出版した彼は、過去2年間マスクに密着し、家族や友人、ビジネスパートナーらへのインタビューを通して、近年ますます物議を醸すようになったマスクの実像に迫っています。
この評伝はマスクの生誕から2023年4月までを時系列的に書かれていますが、次の5つの内容に集約されます。
- イーロン・マスクの生い立ち
- イーロン・マスクの女性関係
- スペースXについて
- テスラについて
- X(旧ツイッター)について
マスクは“X”に特別な思い入れがあるようです。彼の所有する航空宇宙メーカーの名前はスペースX、買収したツイッターの名前を“X”に変え、最愛の息子の名前を“X”と命名しています。彼は「“X”はシンプルだし覚えやすいし入力もしやすい。それにこの名前なら @x.comというめちゃくちゃクールなアドレスが使える」と本当かいな⁉と思う理由を述べています。こんなところに常人とは違う一面が窺えます。
世界一の金持ちになったイーロン・マスクのようになりたいと多くの人は考えると思います。そのことは至極自然なことと思います。では、あなたはイーロン・マスクのようになれますか。その答えに興味を持つ方は是非評伝を読んでください。章が細かく分かれていることが私は助かりました。隙間時間にオーディオブックのスイッチを入れました。しかし読破するのに1か月近くかかりました。
著者、アイザックソンが考えるマスク評が最終章にあります。その一部を私が翻訳しました。ですから、正式な翻訳文ではありません。
【彼の大胆不敵な行動が歴史的偉業を成し遂げるなら、冷血漢であっても、傍若無人な男であっても、ろくでなしであっても許されるのか?答えはNOである。
人は褒められる良い点もあるが、貶される悪い点もある。糸を織って布は出来ている。布から悪い糸を取り除くのは至難である。シェイクスピアが教えていることは、欠点のない英雄はいない。欠点のため悲劇的結末を迎える英雄もいるし、欠点を克服できた英雄もいる。悪役にもいろいろある。彼の作品の中で登場する素晴らしい人物は様々な障害を乗り越えている。
アントニオ・グラシアスと何人かの友人たちがイーロン・マスクに、宇宙探査の新時代をリードするつもりなら衝動的で破壊的な本能を抑制する必要性について話したこと、政治的に争いを乗り越えるにはマスクがもっと地位を高める必要があること、しかし、もし友人のアドバイスをマスクがうけいれたらマスクがロケットを宇宙に運んだり、自動車をEVに移行させたり出来るのだろうか?
改革者は周りが眉をひそめるような人間であったり、毒をまき散らす人間であったりする。特に自分が世界を変えられると信じるイーロン・マスクは常識からは許されざる者と思われる。】
あなたはイーロン・マスクのようになりたいですか。イーロン・マスクのようになれますか!? この問いに対する回答は評伝の中にはありませんが、評伝を読んだあなたの中に生まれてくると思います。
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