巣ごもり生活を続けていると、意外な出会いがあります。
週刊「東洋経済」のコラム「クラッシク音楽最新事情」を読んで触発され、フリードリヒ・グルダが演奏するベートーヴェンのピアノソナタ全32曲を最初から聴き始めています。
私が触発された「クラッシク音楽最新事情」の一部を引用させていただきます。
【ベートーヴェンが遺した32曲の番号つき「ピアノソナタ」は”クラシック音楽の新約聖書”とたたえられる名作だ(“旧約聖書”はヨハン・セバスチャン・バッハ〈1685〜1750〉の『平均律クラヴィーア曲集』とされる)。1782年ごろ手がけた『3つの選帝侯ソナタ』(習作のため番号はついていない)から、1822年に完成させた最後の『ピアノソナタ第32番』まで、約40年にわたってコンスタントに作曲を続けたジャンルはピアノソナタのみという点からも、ベートーヴェンとピアノの強い結び付きが感じられる。
32曲の中には、有名な第8番『悲愴(ひそう)』、第14番『月光』、第23番『熱情』の”3大ソナタ”をはじめ、表題のついた作品が何曲も存在するのだが、ベートーヴェン自身が名付けたのは『悲愴』と第26番『告別』の2曲のみ。ほかは献呈者名や、当時の楽譜出版社による命名、過去の評論家の発言が独り歩きしたものなどだ。ちなみに”3大ソナタ”の由来は、人気の高い作品を1枚のアルバムにまとめたレコード会社の宣伝戦略からだったというのも面白い。ー中略ー ベートーヴェンのピアノソナタ全部となると、どんなピアニストでも、どの曲についてもいちばんよい演奏をしているということはなくなり、それぞれ違う32曲にも上る音楽を1人の個性でまとめるとすればどうなるかという問題になるでしょう。だから、どうやってみても最良ということはない。とすれば、あとはどの曲を最も重要な柱と考え、それに照準を合わせて選ぶか、それとも、全曲を通して平均点の高いのを選ぶか、まったく自分の好みで選ぶか。この3つの態度が考えられることになります」。この的確なアドバイスと「感受性のうえで最も敏捷で知的」という評価にひかれて購入したのが、今も変わらず愛聴しているフリードリヒ・グルダの全集だ。】
ピアノソナタ全32曲をすべて聴くには10時間以上必要となります。巣篭もり生活の時間つぶしから10時間以上必要とする部分に引かれ、まったく恥ずかしいかぎりですが、フリードリヒ・グルダというピアニストを知らないで彼が演奏するベートーヴェンのピアノソナタを聴き始めました。
ひとつの発見は、私が応援しているピアニスト、實川風さんが良く弾くベートーヴェンのピアノソナタに第21番「ワルトシュタイン」があります。そして、實川さんのCD〝デビュー”にワルトシュタインが収録されています。
「ワルトシュタイン」をひとつの目安にして、フリードリヒ・グルダの演奏する32曲を聴くと自分が好きな曲とそうでな曲の仕分けが案外容易に出来ています。
もうひとつの発見というより驚きは40年間にわたってピアノソナタを書き続けたベートーヴェンの凄さです・・・脱帽