京西清談は、私が東京の世田谷に住んでいるからと、気持ちが癒される、あるいは、”ほっ”とする話題を提供したいからです。
 
「パーパス経営」のパーパスは作るものではない!

「パーパス経営」のパーパスは作るものではない!

日本CFO協会の記念出版として、コーポレート機能の重要性についてまとめた1冊「最高の経営を目指して!」(2023年8月10日初版、株式会社CFO本部発行所)を入手しました。

その本の中で東京都立大学大学院教授、松田千恵子さんの記事「最高の経営に求められる新しい経営課題」は、興味を引く内容でした。この記事の内容を一部紹介したいです。

記事「最高の経営に求められる新しい経営課題」で提起された論点に私の簡単なコメントを加筆しました。

  • なぜ経営改革がもとめられるか⇒それは、バブル崩壊を契機として銀行の淘汰と資本市場の規制緩和によりメインバンクガバナンスからエクイティガバナンスに移行したことが大きな要因である。
  • 「パーパス経営」の重要性について⇒パーパスは新たに「作る」ものではなく、埋もれているものを「発見する」ことである。この部分は興味ある内容ですので松田先生の説明をすこし引用する。

【どこの企業でも、創業者の志や長年培ってきた思いはその企業の目指すところを的確に表している。ただ、埋もれてしまっているかも知れないので掘り起こし、将来世代にも理解できるように整える必要がある(中略)片仮名用語が乱立し階層ばかり増えると。浸透は難しくなる。用語は少なくシンプルな構造にすべきだ。ただし、内容は具体的であり、自社独自であることが必要である】

ネット検索で見つかった企業のパーパスを参考のため引用する。
ソニー 「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」
ユニリーバ 「サステナビリティを暮らしの“あたりまえ”に」
東京海上ホールディングス 「お客様や地域社会の“いざ”をお守りすること」
ネスレ 「食の持つ力で、現在そしてこれからの世代のすべての人々の生活の質を高めていく」

  • サステナブルな将来を描くとは⇒外部環境の変化の分析を取り込んで将来シナリオを策定することである。例えば、化石燃料をできるだけ使わず、クリーンなエネルギーを活用していくための変革やその実現に向けた中長期的な施策を策定することである。
  • 人事問題を経営視点で考える必要がある⇒日本企業に不足している経営資源は明らかに「経営人材」である。何より求められるのは次世代経営者の育成である。
  • 事業ポートフォリオマネジメントの進化が求められる⇒これはエクイティガバナンスへの移行が関連している。要は投資家目線(リスクとリターン)で何が多角化を正当化するかについて本社は指導的役割を果たすことである。
  • 子会社に対するペアレンティング戦略の要点⇒ペアレンティングとは「親として子をどう育てる」の意味である。ここで問われることは「その子会社は本当に必要か」である。例えば、子会社が親会社役員の余生を過ごす受け皿として利用されている場合が多々あるが、ペアレンティング戦略の観点からは認めがたい。

記事「最高の経営に求められる新しい経営課題」を読んで、パーパスは新たに「作る」ものではなく、埋もれているものを「発見する」ことであるという松田先生の言葉に感銘しました。

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